旭川農業高校森林科学科は大正12(1923)年に本校が開校した際に『林業科』として設置されました。今日までの卒業生は3,800名以上になります。
 また、昭和9(1934)年に上川町天幕に演習林が設置されました。241haもの面積があり宿舎も建てられ現在も実習に活用されています(写真は第一代目の宿舎「登高寮」です)。
 平成14(2002)年には『森林科学科』と学科名を変更し、これに伴う施設の改修工事を行い、多様な実習ができるようになっています。森林科学科として、科学的な学習と産業的な学習を組み合わせた学習内容へと変わり、今日に至っています。

 

森林科学科ではFacebookとTwitterを活用した情報公開を進めています。 
最近の出来事はこちらで公開していますので、ぜひご覧下さい。
Facebookはこちらから→   Twitterはこちらから→
 
 

 森林科学科では、森を育て、それらを管理する技術、そして得られた木材を中心とした林産物の加工や利用する技術、これら一連の流れである森林の循環利用サイクルを軸とした学習をしています。
 森林には木材を生産する役割と環境を保全する役割があります。
 そのため、これらを総合的に授業では取り上げ、北海道の豊かな森林の自然を維持しながらも、森林資源を有効に利活用していくことを学んでいきます。
 そして、演習林の活用や地域関係機関との連携による実践的な学習をとおして、次世代の森の担い手を育成することを目指しています。

 

 森林科学科の「森林科学」というのは、『森林を守りながら木材などとして利用するための学問』と言えるでしょう。私達の周りには木材を使用しているものが多くあります。木材として必要な分は人間の力で木を育てます。森林は手入れして、伐採することで良くなっていく部分もあります。一方で自然のまま、保護し守らなくてはならない森林もあります。それらに必要な知識や技術を身につけていきます。
 そこで、森を育て木材として利用する、産業としての「林業」と「木材産業」、そして樹木の生態や生育環境などの科学としての「森林」の両方を学んでいきます。
 そして、この学校に入学した時点で、森林の事を学ぶのはみんな同じスタートから。そのために基礎・基本的なことから順番に学んでいきます。実際に木を育てることを体験して、森づくりの大切さを理解するのです。
 
【森林科学科での学びの体系】
       
 森林科学科では将来的に「林業・林産業(木材産業)の担い手」となれるような学習体系を目指しています。
 このカリキュラムマップは、実際の授業がどのように行われ、どのように位置づけられているかを表したものです。
 森林科学科では何を目指し、どのような目的でどんな授業が行われているかを一枚に表しています。

 
ここをクリックすると大きいカリキュラムマップが表示されます  
 

ここでは主な専門科目のみ取り上げます。授業の様子は森林科学科のSNSでも紹介しています。
◆農業と環境
森林を学ぶためには、自然環境の保全と利用のあり方や地域環境についても理解しなくてはなりません。また、専門科目の学び方も身につけておかなくてはなりません。
基礎的な農作物の栽培実習をとおして、専門科目を学ぶプロジェクト学習の仕方や地域の環境、植物の生理・生態について学びます。また、さまざまな見学実習をとおして、地域の森林や林業の基本的な学習をします。


◆森林科学

森を育てるためには、樹木や生態系すべてを理解する必要があります。森林科学では樹木の種類や木の育て方を中心として、それをとりまく環境や生態系について学んでいきます。さらには木の伐採や土砂災害を防ぐ技術も学び、資源の循環サイクルについて理解することをめざし、将来、森づくりを自らコーディネートできる人となれる力を身に付けていきます。



◆森林経営
将来に向けて、森林を持続的に維持していくためには、現在の森の姿を調べ、今後を考えなくてはなりません。森林経営ではそれらに必要となる森林の調査方法や木材の材積(体積)計算、法令やデータ管理などの方法を学び、持続的管理のあり方について理解することをめざし、地域の林業を考えることのできる人となれる力を身に付けていきます。


◆林産物利用
伐採した樹木は木材として無駄なく利用されることが大切です。林産物利用では樹木の構造や顕微鏡レベルでの樹木組織、木材としての性質を基本として、木材加工技術や合板などの改良木材、紙・パルプの製造、きのこの生産などの知識や技術を理解することをめざし、地域資源の循環利用を考えることのできる人となれる力を身に付けていきます。



◆測量
森林を育てる、林道をつくる、土砂災害を防ぐ施設をつくるといった技術を行うためには、土地の面積や状態を知ることが必要です。測量ではこういった位置、面積や土地の高さなどを調べるための技術、さらにそのデータを用いて図面をつくる技術を学んでいきます。このことから必要な器械を選び活用する方法を身に付けます。
 


森林科学科では、授業をとおして資格取得を目指しています。
ビジネス文書実務検定・・・コンピュータを用いたワープロソフトの検定
計算技術検定・・・電卓を用いた計算に関する検定
情報処理検定・・・コンピュータを用いた表計算ソフトの検定
農業技術検定・・・農業や関連する技術に関する検定

また、森林科学科を中心に行っている資格が3つあります。
小型車両系建設機械特別教育
 機体重量3トン未満のパワーショベルやトラクターショベル、ブルドーザーなどを操作することができる資格です。
フォークリフト特別教育
 積載重量1トン未満のフォークリフトを操作することができる資格です。
生物分類技能検定
 生物の分類や命名法、動物の食性や生活習慣、葉の構造など生態に関する知識を問うような問題を解く問題と、動植物に関するスケッチが出題される検定です。

このほかにも各校で行っている漢字検定や英語検定の取得を勧めています。
 

 
実際に森づくりを学んでいても、木や森を扱う仕事がイメージできなかったりすることがあります。また、最先端の技術は学校だけでは学ぶ事ができません。森林科学科では数多くの見学実習や連携学習によって森林をより色々な視野からみることができるようにサポートしていきます。
森林科学科では、下川町や上川町など地域の行政・教育機関と連携協定を結んでおり、専門的な学習にも取り組んでいます。

●下川町林業実習
 実際の林業をイメージするため、植林や森林保育と言った一連の流れを実際の森で町や森林組合、国、道の職員などプロフェッショナルの指導の下、3年間で林業のすべてを学ぶプログラムに沿って実習を行います。また『林業の街』下川で、木が中心となる街づくりのあり方を学びます。


●インターンシップ
 林業の仕事の実際を就業体験で学びます。森林科学科では、インターンシップの企業選定前に「山の仕事説明会」などを地域林業事業体様などと開催しており、サポート体制も充実しています。




●上川町林業アップデート2.0
 『林業資源の出口を見据えた森林管理者の育成』を目標に、上川町の他、北海道大学北方生物圏フィールド科学センター森林圏ステーション北管理部の先生方と学習を進めます。木材の使用まで意識しながら森林管理について考え、同時に木工製品の企画・プレゼンテーションができることを目指して学習をします。